Published: 2025-09-09 08:03

吉増剛造から板垣李人まで──モレスキンのノートをアートに昇華した巡回展『Detour』がついに東京で開催

ゴッホやピカソをはじめ、名だたるアーティストに愛されてきた伝説的ノートブックを継承するブランド、モレスキン（Moleskine）。そしてイタリア・ミラノを拠点に、世界の貧困地域で教育普及活動を行う非営利団体・モレスキン財団（Moleskine Foundation）。両者がタッグを組み主催する巡回展『Detour』が、いよいよ東京にやってくる。

【写真を見る】前・金沢21世紀美術館館長でキュレーターの長谷川祐子と2024年11月に東京・亀有に設立したSKWATがキュレーションを手がける東京ならではの展示は必見だ。

モレスキンは、イタリアのモレスキン社が展開するステーショナリーブランド。丸みを帯びた角、黒のシンプルな長方形のフォルム、ノートを束ねるゴムバンド、内側のマチ付きポケット。無名ながら完成されたそのデザインは、かつてフランス・トゥールの小さな製本業者によって製造されていたが、1986年にその業者が倒産し、一時は製造が途絶えてしまう。のちに復刻され、現在ではブランドを象徴する「モレスキンノート」として愛されている。

今ではノートだけでなく、ダイアリーやバッグなど幅広いアイテムを展開。その使いやすさと機能性、そして持つ人の記憶をとどめるツールとして、世界中のクリエイティブなプロフェッショナルをサポートしている。

かつてのアーティストたちが名作を生み出す際にモレスキンノートへスケッチしていたように、「紙に書くこと」は人間の才能を解き放ち、個人と社会全体の創造性と知識を高めるもの。こうした信念のもと、2006年に設立されたモレスキン財団は「Creativity for Social Change（創造性による社会変革）」を理念に掲げ、若者支援や自由な教育プログラムを世界各地で行っている。活動は文化的・創造的な国際パートナーとのネットワークに支えられ、創造性と教育へのアクセスが社会を前向きに変える原動力になると信じて活動を続けている。

そんなモレスキンと財団が主催する巡回展『Detour』は、これまでロンドン、上海、パリ、ニューヨーク、ミラノ、そして大阪・関西万博で開催されてきた。モレスキンのノートに描く、切り取る、解体する、再構築するといった創作プロセスを経て、時に彫刻のような立体作品へと姿を変えた「ノートブックアート」を展示。モレスキン財団が所蔵する1600冊を超える作品群から、展覧会を開催する土地ごとの文脈に合わせて厳選されたものが公開される。

これまでに映画監督のスパイク・ジョーンズ、デザイナーのロン・アラッド、三つ星シェフのハインツ・ベックら各界のクリエイターが参加。彼らはモレスキン財団の「Creativity for Social Change（創造性による社会変革）」という理念に共鳴。若者の創造性と多角的思考を育む教育プログラムに賛同して、作品を寄贈してきた。