Published: 2025-02-12 08:10

ヴァシュロン・コンスタンタン、ヒストリーク 222──ついに日の目を見た、アンダーグラウンドのアイコン

ヴァシュロン・コンスタンタンの伝説的なモデル、222が復活を果たした。2025年に追加されるのは、ステンレススチール製のモデルである。

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1970年代は腕時計業界にとって激動の時代だった。スイスの名門や老舗の高級腕時計メーカーは、クオーツウォッチが起こした革命の波に直面。次々と閉鎖に追い込まれ、生き残るための戦略を模索するようになった。

スイス時計界の「三羽ガラス」であるオーデマ ピゲ、パテック フィリップ、ヴァシュロン・コンスタンタンも、スイスの高級腕時計のハイエンドな基準に準拠したデザインとスポーティな外観を併せ持った、日常的に着用できるスチール製腕時計を製造する。

オーデマ ピゲとパテック フィリップが当時発表したのは、その後腕時計史上で最も崇拝されることになる、「ロイヤル オーク」と「ノーチラス」だ。

一方、ヴァシュロンが1977年に発表したのは、創業222周年を記念した、ユニークで頑丈なツールウォッチ「222」だった。この時計は8年間のみ製造され、生産数は多くても数千個。スチール製は数百個しか出荷されなかったと言われている。

この生産数では、222はアンダーグラウンドのヒーローになるしかなかっただろう。ヴァシュロン・コンスタンタンの貢献は歴史に埋もれ、222は時計マニアのみが知るモデルとなり、ロイヤル オークとノーチラスのようなスター性を持つことはなかったのである。

しかし、ヴァシュロン・コンスタンタンは2022年にゴールドバージョンを再販。大きな話題となった。そして、ついにアイコンとなるべきステンレススチール製の222を復活させたのである。

222はロイヤル オークやノーチラスと多くの共通点をもつものの、ほぼすべてのディテールで独自性を見せている。後者ふたつのデザインは、時計デザイナーとして史上最も有名なジェラルド・ジェンタによるもので、彼の海への愛着をインスピレーション源としたものだった。ロイヤル オークはスキューバダイビング用のヘルメットのような造形を、ノーチラスは船の舷窓を模したデザインをもっていた。

一方、ヴァシュロン・コンスタンタンは実績のない20代のデザイナーに白羽の矢を立てた。その名はヨルグ・イゼック。彼は、海の匂いがするようなデザインではなく、より洗練されたデザインを考案したのである。

イゼックはブレスレットをケースに組み込み、ノーチラスよりも曲線が少ないデザインに仕上げただけでなく、ベゼルの上に露出したネジをもつロイヤル オークとは対照的に、ベゼルに歯のようなギザギザを施した。