Published: 2025-04-17 12:12

オメガが築いたジェームズ・ボンドの伝説──シーマスター ダイバー300M ブロンズゴールド&バーガンディ

30年間、オメガは007の愛用ウォッチであり続けた。そして今回、新作「シーマスター ダイバー300M ブロンズゴールド&バーガンディ」を通じて、その魅力をメインコレクションに注ぎ込もうとしている。

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私はジェームズ・ボンドとまったくの別人というわけでもなさそうだ。というのも、この1月、私はオメガの極秘情報を守ることを厳粛に誓い（つまり秘密保持契約書にサインし）、スイスの名門ウォッチブランドからある特別なツールを授かった。

それは、オメガ独自の合金である9Kゴールド、シルバー、パラジウムをブレンドした素材に、バーガンディのベゼルを組み合わせた、新しいオメガ「シーマスター ダイバー 300M」ブロンズゴールドモデルである。私のミッションは至ってシンプル、市場にまだ出回っていない最高の腕時計を試すことだった。

この話をするうえで、007を引き合いに出すのには理由がある。私が与えられた任務は、元ボンド俳優であり現在オメガのブランドアンバサダーでもあるダニエル・クレイグのそれと似ていたから。

オメガはクレイグに未発売の腕時計を着用させ、映画祭やオリンピックなどの大舞台でさりげなく披露させることで世間の関心を高めてきた。しかし、私の姿をパパラッチが追うことはないため、この腕時計の存在は私だけの秘密となった。

シーマスターは1948年以来、オメガのダイバーズウォッチの中心的存在であるが、最新作のルーツは30年前にさかのぼる。1995年公開の『007／ゴールデンアイ』でピアース・ブロスナンがジェームズ・ボンド役としてデビューした際、オメガはスクリーン上で007の公式時計ブランドとしての地位を確立した。

それ以前、ボンドはロレックス、セイコー、タグ・ホイヤーなど、様々なブランドの時計を着用していたが、この映画を境にオメガ一択となったのである。シーマスターはボンドの腕時計として揺るぎない地位を築くことになった。

新しいシーマスターは、2021年公開の『007／ノー・タイム・トゥ・ダイ』記念モデルの直系の後継機と言える。前作はマット仕上げの文字盤、トフィーカラーのインデックス、エイジング加工された針、メッシュブレスレットなどを採用していたが、今回のモデルではそれらの特徴を継承しつつ、素材を実用的なチタンから、オメガ独自のブロンズゴールドにアップグレードしている。

特にシーマスターに多い金属リンクやラバーストラップとは一線を画したメッシュブレスレットは、私が息子を保育園に送る際にも注目を集めたほどだった。ダイヤルの軍用マーキングや「007」のロゴこそないものの、ボンドらしさは存分に漂っている。

ダイバーズウォッチでありながら貴金属で仕立てられたこの1本は、ドレスウォッチとスポーツウォッチを兼ね備えた存在だ。世界征服を企む悪役とのポーカーゲームや、スコットランド高地での荒々しい散策、アストンマーティンでのカーチェイスなど、この時計さえあれば、どんなシーンにも対応できる。

時計業界では、「最も魅力的なストーリーを語るブランド」が勝者となる。エベレスト初登頂の登山家たちはロレックスを携え、スティーブ・マックイーンはタグ・ホイヤーを着けてル・マンを疾走した。

カルティエは王侯貴族の腕を飾り続け、その伝統はダイアナ妃からテイラー・スウィフトに受け継がれている。

オメガは月面着陸という歴史を活かしてブランドを築き上げた。人々はムーブメントそのものではなく、それが象徴する物語に惹かれるわけで、そのストーリーの中で、ジェームズ・ボンドほど“なりたい男”としての魅力を持つキャラクターはそう多くない。

公式な007エディションでなくとも、その片鱗があるだけで、このシーマスターには大ヒットする理由が十分にある。

WORDS BY CAM WOLF TRANSLATION BY MASAYUKI HIROTA

PHOTO ILLUSTRATION: KELSEY NIZIOLEK. OMEGA: COURTESY OF THE BRAND. COCKTAIL: GETTY IMAGES.