Published: 2025-01-29 21:10

新型フォルクスワーゲン ゴルフの進化は地味に凄かった!!! 500万円に近づいた“実用車”の進化に迫る

マイナーチェンジを受けたフォルクスワーゲンの新しい「ゴルフ」が、日本に上陸した。まずはディーゼルエンジン搭載のステーションワゴン「ヴァリアント」のインプレッションを、小川フミオが綴る。

【写真を見る】新型ゴルフ・ヴァリアントTDI R-Lineの全貌（20枚）

フォルクスワーゲンのゴルフが新しくなって、2025年1月10日に、日本でも発売開始された。さっそく、ディーゼルエンジン搭載のヴァリアント TDI R-Lineに試乗。活発な走りを堪能した。

本国では2019年に登場した第8世代のゴルフ（日本では21年）の改良版であることから、“ゴルフ8.5”と、呼ばれるのが今回の新型だ。フロントマスクをはじめ、エクステリアデザインの一部が変更されるとともに、インフォテインメントシステムが刷新されたのが特徴だ。

今回もボディは、ハッチバックとステーションワゴンの2本立て。ハッチバックより50mm長い2670mmのホイールベースを持つのが後者のヴァリアントだ。エンジンは、ハッチバックと同様、マイルドハイブリッドの「eTSI」（グレードで出力が異なる）と、クリーンディーゼルの「TDI」となる。

ヘッドランプとバンパーの意匠が少し変わったのと、さらにパッと見で「新型！」と、わかるのが、イルミネーション付きエンブレム。円のなかに“VW”と、入れた世界でもっとも知られたエンブレムのひとつが、燦然と輝いている。

もうひとつの注目点は、「MIB4」と、呼ぶ新OSによるインフォテインメントシステムだ。これによって、12.9インチの液晶モニター内の地図スクロールのレスポンスが向上した。

さらに「IDA」なる会話型コマンドシステムも、ゴルフとしては初めて採用された。インフォテインメントやエアコンなどの機能を音声で操作できる機能だ。システムを立ち上げて「ニュージーンズ（の楽曲を）かけて」と、コマンドしてみたら「これから学習します」と、応えてくれたのがほほえましかった。アイダは勉強家らしい。

今回乗ったTDI R-Lineはディーゼルモデルのトップグレード。トップというか、スポーティなキャラクターはR-Lineのみなので、少しだけベクトルがちがう。それでも、「やっぱりゴルフはR-Lineだよね」という熱心なファンがいるのだ。

この1968cc4気筒のインタークーラー付きターボチャージャー装着ディーゼルエンジンは、最高出力110kW、最大トルク360Nmと、パワフル。いっぽう、クリーンディーゼルとしても進化している。

SCR触媒を2つ直列に並べ（従来は1つ）、2個所から尿素剤（アドブルーともいう）を注入する。それによってNOxも、余分な尿素剤も除去する。この「ツインドージングシステム」を、搭載したのも大きな特徴だ。

低回転域から、ぶっといトルクが出る。アクセルペダルをごく軽く踏み込んだだけで、頭が後ろにのけぞるようなトルクだ。これは慣れが必要かもしれないと思った。慣れてしまえば、かなりすばしっこく走れる。

サスペンションの設定はやや硬め。スプリングもダンパーも硬めで、足回りは、よくいえば、シャキッとしている。ステアリングホイールの中立付近の反応は、スポーツカーのようなダイレクト感はないものの、いちど速度に乗ると、クルマがドライブしている自分の身体の一部になったように動いてくれる。

エンジン音と、それと18インチ径のロードホイールと組み合わされた扁平率40%のブリヂストン「TURANZA（トランザ）」のタイヤノイズは、ちょっと大きい。このあたりの遮音がよりよくなると、クルマの印象はさらに上質になりそうだ。

印象としては、R-Lineは、中距離ぐらいの移動が多くて、そのときスポーティなドライブを味わっていたいというオーナー向きだろうか。TDI R-Lineの価格は¥4,856,000。

ゴルフ・ヴァリアントにおけるTDIシリーズは、R-Lineに加えて、「アクティブベーシック」（¥4,100,000）、「アクティブアドバンス」（¥4,669,000）、それに日本でもっとも売れ線になるとみられる「スタイル」（¥4,778,000）で構成される。