Published: 2025-06-13 19:50

ことしの「骨太の方針」決定 経済リスク対応やコメ政策見直し

政府は13日、ことしの「骨太の方針」を決定しました。アメリカの関税措置による経済リスクへの対応や、コメの安定供給に向けた政策の見直しなどを盛り込む一方、財政健全化については、これまで目標としていた今年度の基礎的財政収支の黒字化が難しくなっていることを踏まえ「今年度から来年度を通じて可能なかぎり早期の黒字化を目指す」としています。

政府は13日夕方の持ち回り閣議で、ことしの経済財政運営の基本方針「骨太の方針」を決定しました。

この中では、アメリカ トランプ政権の関税措置について「消費や投資を下押しするおそれがあり、わが国の経済全体を下振れさせるリスクとなっている」と指摘しています。

そのうえで、一連の措置の見直しを強く求めて粘り強く交渉を続けるとともに、国内産業への影響を想定して資金繰り支援などを行い、対応に万全を期すとしています。

また、コメの価格高騰をめぐり、価格を落ち着かせるため、備蓄米などの流通の円滑化を進めるとともに、安定供給に向けて政策を見直し、農地の集約化を強化するなどとしています。

政権が重視する賃上げをめぐっては「減税政策よりも賃上げによってさらに手取りが増えるようにし、成長型経済を実現する」と明記し、最低賃金を2020年代に全国平均1500円にする目標の達成に向けて、5年間で集中的な取り組みを実施するとしています。

このほか、外国人との秩序ある共生社会を実現するため、制度や運用全般の見直しを進めるとして、外国で取得した運転免許証を日本の免許証に切り替える「外免切替」の審査の厳格化や、税や社会保険料の未納防止に向け、保険適用のあり方などを検討すると明記しています。

一方、財政健全化については、これまで目標としていた今年度＝2025年度の基礎的財政収支の黒字化が難しくなっていることを踏まえ、より幅を持たせて「今年度から来年度＝2026年度を通じて可能なかぎり早期の黒字化を目指す」としています。 予算編成 “社会保障費に物価上昇や賃上げの動向反映” 骨太の方針では、予算編成にあたって、社会保障費に物価上昇や賃上げの動向を反映させるとする考え方が盛り込まれました。

この中では、歳出改革を通じた保険料負担の抑制の努力も継続しつつ、物価の上昇などを踏まえ、医療・介護といった現場で働く幅広い職種の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行うとしています。

そのうえで、社会保障費の算定にあたっては「高齢化による増加分に相当する伸びに経済・物価動向などを踏まえた対応に相当する増加分を加算する」としました。

社会保障費をめぐっては、高齢化で膨らみ続ける年金や医療などの費用をどう抑えるかが課題となる一方、現場で働く人たちからは処遇改善も強く求められていて、毎年の予算編成で激しい議論が行われています。 石破首相「成長型経済への移行を確実なものとしていく」 石破総理大臣は、政府の合同会議で「5％を上回る賃上げが2年連続で実現しており、成長と分配の好循環が動き始めた今こそ、デフレに後戻りせず、成長型経済への移行を確実なものとしていく。経済再生と財政健全化の両立を進め、2040年ごろに名目GDP1000兆円程度の経済が視野に入るように取り組んでいく」と述べました。