Published: 2025-09-13 09:10

妻夫木聡×窪田正孝インタビュー──映画『宝島』は9月19日公開

大友啓史監督の最新作映画『宝島』が9月19日に全国公開される。メインキャラクターを演じる妻夫木聡・窪田正孝は、コロナ禍などによる2度の撮影延期を乗り越えた本作への想いを語る。

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2023年第46回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を含む最多8部門を制した『ある男』。直接的な共演シーンはないが、2022年を代表する1本で初共演を果たした妻夫木聡と窪田正孝が、再びビッグプロジェクトで顔を合わせた。NHK大河ドラマ「龍馬伝」や『るろうに剣心』シリーズで知られる大友啓史監督の最新作『宝島』（9月19日公開）だ。

小説家・真藤順丈による直木賞受賞作を映画化した本作は、2018年のプロジェクト始動から6年の歳月を経て完成。コロナ禍などによる2度の撮影延期を乗り越えた渾身の1作だ。本編尺は191分にも及び、1950年代・米軍統治下の沖縄を舞台に米軍基地から物資を奪っては住民らに分け与える「戦果アギヤー」たちの壮絶な人生を圧倒的な熱量で活写してゆく。

くしくも終戦80年の節目となる2025年に公開を迎えるが、ここまでの道のりを振り返った妻夫木と窪田は「制作が2回飛んだときは流石にもう無理かもしれないと思いました」と明かす。メインキャラクターを演じた妻夫木聡・窪田正孝・広瀬すず・永山瑛太の4人は企画の立ち上げ当初からオファーを受けており、「誰一人欠けることなくまた集まれたのは奇跡」と安堵の表情を浮かべる。それもそのはず、本作の撮影期間は2024年2月末～6月頭ののべ106日、ロケ地は43箇所にも及ぶ。ジム仲間である妻夫木と窪田は顔を合わせるたびに「本当に実現できるのか」と話し合っていたというから、喜びもひとしおだろう。本インタビューが行われたのは全国キャラバンが始まる以前の5月。演者がメディアに向けて語るのはほぼ初めてのタイミングだった。2人の口からは、積年の想いが堰を切ったようにあふれ出してくる。

「僕は2006年に公開された映画『涙そうそう』でコザの人々と出会いました。また同じ場所を舞台にした映画に呼ばれたことに運命的なものを感じていたし、延期を聞いたときもなかったことにできない自分がいました。3度目の正直で実現に至るまではとにかく不安でしたし、衣装合わせのたびに“本当にやるんですよね？”と聞いていました。キャストと監督のスケジュールや製作資金のことも含めて、全てが再び一致できることは不可能に近いと思っていましたから」（妻夫木）

「最初にお話をいただいたときは“やる”という選択肢しかありませんでした。役者を志している人が皆同じように思うほど、価値のある企画だと思います。歴史ものはこれまでにも多々ありましたが、いまなお沖縄に残る爪痕を当時生きた人々の目線から描き、その時代にしか感じられない栄光や感動を切り取った本作は、他にありませんから。バラシになったと聞いて現実として受け止めてはいたものの、本作以上にやりたいと思えるものには出合えず、ずっと空しさを感じていました」（窪田）

妻夫木と窪田の想いをつなぎ止めていた中心人物は、やはり大友監督だった。実現の喜びもつかの間、窪田は現場でその途方もない熱量と覚悟を目の当たりにし「最初から最後まで全くエネルギーが落ちないのです。しかも1日かけて台本の0.2ページ分くらいを入念に撮るほどこだわりが凄まじく、妥協もない。一生やっているんじゃないか？と思えるほど延々と撮影している大変な現場でした」と圧倒されたそう。