Published: 2025-01-30 13:54

旧安倍派 会計責任者の参考人招致 賛成多数で議決 衆院予算委

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、衆議院予算委員会では、旧安倍派の会計責任者の参考人招致について採決が行われ、野党側の賛成多数で議決されました。安住委員長が会計責任者に対し、来月10日をめどに委員会に出席するよう要請することにしています。

衆議院予算委員会では、野党側が、自民党の政治とカネの問題の真相究明が不可欠だとして、旧安倍派の会計責任者の参考人招致を求めてきましたが、与野党で折り合えない状況が続いたため、安住委員長の提案で、30日の委員会で採決することになりました。

午前の委員会で行われた採決では、立憲民主党と日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組、共産党などの賛成多数で、会計責任者の参考人招致が議決されました。

少数の与党側は、自民党が反対し、公明党は退席しました。

参考人招致の議決は全会一致を原則としてきていて、衆議院予算委員会で賛否が分かれた形で決まるのは、1974年以来、51年ぶりです。

議決を受け、安住委員長が会計責任者に対し、来月10日をめどに委員会に出席するよう要請することにしていますが、出席は任意となっていて、会計責任者は「裁判で証言した以上のことはない」と、招致には応じられないとの意向を示しているということです。

一方、30日の委員会では、加藤財務大臣が新年度予算案の趣旨説明を行いました。

委員会では、31日から週明けにかけて3日間、石破総理大臣とすべての閣僚が出席して基本的質疑が行われます。 自民 井上元万博相「全会一致が原則 慣例破るのは遺憾」 与党側の筆頭理事を務める自民党の井上元万博担当大臣は記者団に対し「われわれは会計責任者が私人であることや、すでに確定判決が出ていることから参考人招致には反対してきた。招致は今まで全会一致が原則だったので、その慣例を半世紀ぶりに破ることは大変遺憾だ。数の力による議事運営は厳に慎んでもらいたい」と述べました。 公明 西田幹事長「議決は遺憾 実態解明進むことが大事」 公明党の西田幹事長は記者団に対し「『応じない』と言っている民間人を、数の力によって国会に招致することには反対なので退席した。民間人の参考人招致は全会一致で行う大事な慣例があり、議決は遺憾だ」と述べました。

一方、28日、自民党に対し、採決が行われる場合、賛成する考えをいったん伝えたことについて「多数決で参考人招致を決めず、実態解明が進むことが大事で、自民党の努力が必要だと伝えた。われわれは実態解明に反対ではないので、委員会に出席して賛成せざるをえないことにもなりかねないという趣旨を申し上げた。この間、斉藤代表らと協議し、民間人を多数決で国会に招致することは避けなければならないという対応になった」と説明しました。 立民 安住予算委員長「会計責任者 議決の重み自覚し決断を」 立憲民主党の安住予算委員長は委員会のあと、旧安倍派の会計責任者に来月10日をめどに、参考人として委員会に出席するよう求める書面に署名しました。

このあと記者団に対し「自民党には自民党の考えがあって最後まで全会一致にはならなかったが、結果的に混乱なく可決できたことで一つ大きな山を越えた。自民党一強時代は、予算委員会で問題提起があっても投げっぱなしだったが、与野党逆転の中でこの結論に達したことで責任は果たしたのではないか」と述べました。

そのうえで「会計責任者には衆議院の議決の重みを十分に自覚してもらい、速やかに決断を願えればと思っている」と述べました。 立民 山井氏「自民党にそんたくせず真相語ってほしい」 野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の山井和則氏は、記者団に対し「全会一致で参考人招致を決めたいと思って交渉してきたが、自民党が採決で反対したのは非常に残念だ。招致を議決した以上は、旧安倍派の会計責任者には何らかの形で説明責任を果たし、自民党にそんたくすることなく真相を語ってもらいたい」と述べました。 立民 重徳政調会長「自民党は真相明らかにする責任ある」 立憲民主党の重徳政務調査会長は記者会見で「会計責任者が招致に応じるかどうかは、民間人で、出席を強制するすべがない以上、本人の判断になる。国会で何としてでも真相究明をしなければならないという意思表明がされたからには、自民党には、今まで以上に真相を明らかにする責任がある」と述べました。

また、会計責任者が参考人招致に応じない場合、証人喚問も含め、今後の対応への考え方を問われ「まずは参考人招致にしっかり応えてもらえるように努力するということだ」と述べました。 維新 前原共同代表「国会には真実を開示する責任」 日本維新の会の前原共同代表は記者会見で「政治倫理審査会で国会議員が全く核心について話をせず『知らぬ存ぜぬ』で通してきたので、会計責任者を国会に呼んで、しっかり話を聞くことは大事だ。国会には国民に真実をしっかり開示する責任がある」と述べました。

また記者団から「会計責任者が応じない場合は党としてさらなる対応を求めていくのか」と問われ「各党で話をすることになると思う。いろいろな選択肢があるが、まずは会計責任者が参考人招致に応じることを望みたい」と述べました。