Published: 2025-04-24 08:00

東京都“カスハラ”防止条例 教育現場で保護者への対策検討へ

東京都内で4月から施行されたカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」防止条例が、教育現場にも適用されることから、都教育庁は、学校などでの保護者からの過度なハラスメントへの対策に乗り出すことを決めました。

都内では4月から「カスハラ」の防止条例が施行され、これは学校などの教育現場にも適用されます。

しかし、保護者から過度な要求や理不尽な言動などがあっても、教員が子どものことを思って我慢してしまうケースもあり、こうしたことが負担の増加につながっているとして、都教育庁は有識者会議を新たに立ち上げて対策を検討していくことになりました。

会議には教育学や憲法に詳しい専門家や弁護士などが参加し、教員や保護者の代表から現場の課題を聞き取り、保護者が学校に意見を伝えやすい環境づくりや教員を守る仕組みづくりについて検討を進めていきたいとしています。

都教育庁は、24日に開かれる委員会を経て、5月9日に初会合を開き、年内を目標に対応策をとりまとめたい考えです。 元校長 “マニュアルがあれば 執ようなクレームなど減るのでは” 学校などの教育現場では保護者とのやりとりに苦慮するケースが少なくありません。

学校でのトラブルに関する相談を受ける団体の職員の鈴木彰典さんは、おととしまで埼玉県の公立学校で校長を13年間務めました。

鈴木さんによりますと、以前、校長として勤務していた学校で、保護者から暴言を言われた教員が校長室に来て泣きながら訴えてきたケースもあったということです。 鈴木さんは「暴言が引き金になって心を病んでしまったり、自分の力を十分に発揮できなくなってしまうのは、学校にとっても痛手だった。対応マニュアルのようなものが作られ、それが保護者にも周知されれば、学校に向けられていた過度な要求や執ようなクレームは少しでも減らすことができるんじゃないか」と話していました。 教員からの相談受ける団体 “保護者の指摘の見極めが重要” 学校でのさまざまなトラブルについて、教員からの相談を受ける団体では、2024年度に前の年のおよそ1.5倍の221件の相談が寄せられているということです。

このうち半数以上にあたる127件が保護者とのトラブルに関するもので、年々増えているということです。

一方で、保護者からの指摘が現場での改善につながるケースもあるといい、過度な要求なのかそうではないのか、見極めが重要だといいます。 学校リスクマネジメント推進機構の宮下賢路代表は「保護者からの苦情というのは、学校の足りないところ、改善点を指摘しているという側面もあるので、いいことではある。こうした状況に対するマニュアルなどがあれば、教員側も対応しやすくなるほか、保護者側も冷静になって、学校に要望を伝えられるようになり、それが子どものための解決策につながっていくこともある」と指摘しました。