Published: 2025-05-30 18:49

謎多き「天王星」の知られざる姿

米航空宇宙局（NASA）のハッブル宇宙望遠鏡による20年間に及ぶ観測に基づき、このほど天王星の大気に関する研究結果が公開された。この研究結果や過去に撮影された画像を交えながら、謎多き天王星の知られざる姿に迫っていこう。

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土星と海王星の間に位置する太陽系第7惑星の天王星は、水やアンモニアの氷を主成分としていることから、巨大氷惑星とも呼ばれる。直径は51,000kmほどで地球の4倍ほど、質量は地球の15倍ほどになる。

そんな天王星には、13本のリングと28個の衛星が存在していることが確認されている。

1986年1月には米航空宇宙局（NASA）の宇宙探査機「ボイジャー2号」が天王星への人類初めての探査を成功させた。これまでのところ、探査機による天王星の探査が実現したのはこの1回限りである。

そんな天王星についてアリゾナ大学などの研究チームが、NASAのハッブル宇宙望遠鏡を用いて、2002年から22年までの20年間かけて観測を実施した。このほど発表された研究結果によると、観測によって天王星の大気の組成とそのダイナミクスに関する新たな洞察を得ることができたという。そこで今回は、この研究結果を中心に天王星の知られざる真実の姿に迫っていきたい。

研究結果によると、天王星の大気の主成分は水素とヘリウムで、他には少量のメタンや、ごく微量の水やアンモニアが含まれている。天王星が淡い青緑色に見えるのは、太陽光線に含まれる赤色の成分をメタンが吸収することが原因だという。

天王星は自転軸が公転面に対してほぼ平行になっている。このため天王星は「横倒し」になって公転していると言われている。これは過去に地球サイズの天体が衝突したからではないかと推測されている。

このように横倒しになって公転していることで、天王星においては季節的な変化が著しい。公転周期は84年ほどなので、太陽が当たる期間（春～夏～秋）が42年ほど、太陽が当たらない期間（秋～冬～春）が42年ほど続くからだ。

今回、研究チームは20年かけて、南極地方（左端）が太陽に対して陰に入って冬に向かい、北極地方（右端）が太陽に当たって夏に向かう季節（主に北極地方における春）を観測した。