Published: 2025-01-24 12:10

トランプ再就任で、アメリカの「多様性」はどうなる？──連載：松岡宗嗣の時事コラム

トランプ大統領は、多様性尊重を目指す「DEI」政策を次々と廃止。アメリカでは企業による多様性施策見直しが加速するのか？

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マクドナルドやウォルマートなど、アメリカで企業の「多様性」に関する取り組みを見直す動きが起きている。

これまで、管理職における女性や黒人、LGBTQ+の割合の目標を立てたり、プライドパレードをはじめとした社外イベントに協賛したりといった、いわゆる「DEI（Diversity：多様性、Equity：公平性、Inclusion：包摂性）」と呼ばれる取り組みを進める企業が増えてきていた。

しかし、ここにきてDEI推進をストップする企業が出てくるようになった。いったい何が起きているのか。その経緯や背景と、今後企業はどのようにDEI施策と向き合っていけば良いかを考えたい。

マクドナルドは1月6日、DEIに関する目標を廃止することを発表した。2025年までに、グローバルにおける管理職の女性比率を45%、人種的・性的マイノリティの比率を30%に引き上げることなどを目標として掲げていたが、こうした数値目標を取りやめるという。

アメリカ企業のLGBTQ+に関する取り組みを評価する「企業平等指数（Corporate Equality Index）」というプログラムがあるが、マクドナルドはこうした外部機関によるDEI施策の調査への参加も取りやめることになる。

世界最大のスーパーマーケットチェーンと言われるウォルマートも、DEI施策を縮小すると発表している。ウォルマートの取引先企業は約10万社あると言われるが、その企業の選定過程で、これまで設けられていたような多様性について考慮する方針をやめる。さらに、プライドパレードへの支援を見直し、「DEI」という言葉も今後は使わないことを発表した。

他にも、先日ファクトチェック廃止やヘイト投稿規制の緩和を発表したFacebookやInstagram、Threadsを運営するメタ社は、社内のDEIに特化したチームをなくし、採用や取引先についての多様性に関する配慮をやめるという。

日系企業にもこの動きは伝播している。トヨタや日産は、アメリカにおけるDEIの取り組みを縮小するとして、外部機関によるDEI施策の調査への参加を取りやめ、LGBTQ+関連イベントへの支援も見直すことを示している。

アマゾンやフォードモーター、ハーレダビッドソン、ホームセンターのロウズなどがDEIの取り組み見直すという。