Published: 2024-11-29 18:27

ススキノ火災 重体の人物 従業員につきまといか 警察も把握

26日に札幌市の繁華街 ススキノのガールズバーから出火した火事で、意識不明の重体になっている41歳の人物が、交際していた女性従業員と別れ話でもめたあと、つきまとったり、SNSで何度も連絡したりしていたとみられることが、店の関係者への取材で分かりました。警察も、こうした情報を把握しているということで、詳しく調べています。

11月26日午後、札幌市の繁華街、ススキノにあるガールズバーが焼けた火事では、41歳の人物が意識不明の重体になり、客と従業員、合わせて3人がやけどなどの大けがをしました。

店の関係者によりますと、この人物がガソリンのような液体をまいて火をつけたとみられています。

この人物は、やけどをした女性従業員と交際していて、11月上旬に別れ話でもめて、警察から2人で会わないよう注意を受けていましたが、そのあとも家の前までつきまとったり、SNSで連絡を繰り返したりしていたことが、店の関係者への取材で分かりました。

警察は、火事が起きたあとにつきまといなどの情報を把握したということで、この人物が火をつけた疑いがあるとみて、詳しいいきさつを調べています。

一方、現場のビル近くで、この人物の車が見つかっていたことも捜査関係者への取材で新たに分かり、警察はガソリンのような液体を運ぶのに使ったとみて調べています。 ガールズバー代表 “真相を追求してほしい” 火事があったガールズバーの代表が28日にNHKの取材に応じました。

火が出た当時、ビルの5階にいた代表は、屋上まで避難し、消防に救助されたということです。

当時の状況について「ほかのスタッフと打ち合わせをしていたところ、『ドーン』と音がして窓を開けました。その後も1、2回、爆発しました。5階から降りようとしましたが、ものすごい煙で降りられず、屋上に逃げました」と振り返りました。

従業員から聴き取った話として、帽子を深くかぶった作業服の男が、透明なバケツのようなものを持って無言で入ってきて、女性従業員の近くで中身をぶちまけライターで威嚇していたなどと説明しました。

火をつけたのは41歳の人物で、店の20代の女性従業員と交際していたとみられています。

代表は、女性従業員について、優しく、人なつっこい性格で、長年この店で働き、ほかの従業員への面倒見もよかったと話しました。

この人物とは数年前から交際していて、同居していたということですが、1か月ほど前から「彼氏にDVを受けたり、暴れたりする」などと相談を受けていたということです。

11月になって従業員が警察に相談した結果、この人物は、警察から口頭で「2人で会わない」などの注意を受け、交際を解消しました。

しかし、その後も家の前まで付きまとわれたり、SNSで何度も連絡がきたりといったストーカー行為を受けていたということです。 女性従業員から代表に転送されたという、この人物と従業員のSNSのやり取りには「会いたい」などと何度も記されていました。

代表は「できれば最初に警察に相談したあとも、手厚い支援をしてもらいたかったし、この人物に対して、もっと厳しく注意してもよかったのではないかと思います。今回のような事件は、ほかにもたくさんあると思うので、警察や行政機関などへの具体的な相談のしかたなどのマニュアルのようなものがあると助かります」と話していました。

28日に入院中の従業員と面会した際には、この人物について「許せない」などと話していたということです。

代表は「今も気持ちの整理がついていないが、被害者のことを最優先に考えて、真相を追求してほしい」と話していました。 当時の店内の状況は 店の関係者などによりますと、現場のガールズバーは、雑居ビルの2階と3階の2つのフロアがあり、店内にあるらせん階段で行き来することができるということです。

それぞれのフロアには、15人ほどが座れる席が設けられています。

店の関係者によりますと、火災が発生する直前、店内には従業員や客、合わせて5人がいました。

店に姿を見せた41歳の人物は、カウンターの近くに進むと、持っていたバケツの中の液体をカウンターに向かってばらまき、ライターのようなものを手にしていたということです。

また、札幌市消防局によりますと、焼け跡の店舗を調べたところ、ガソリンの成分が検出されたということです。

一方、店が入る雑居ビルで、ことし6月に消防の査察が行われた際には、防火管理者を変更した際の手続きの不備や、誘導灯が切れかけていたことを除いて問題はなく、火が出た当時も、火災報知器は正常に作動していたとしています。