Published: 2025-01-23 20:40

1900万円超の新型ロータス・エレトレは、新時代のSUVだった　“歴史”も大切にする革新的な1台に迫る

ロータスのスーパーEV（電気自動車）である「エレトレ」は、異次元な1台だった。芦屋（兵庫県）でドライブした小川フミオが、印象を綴る！

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ロータスが手がけるバッテリー駆動のプレミアムサイズのSUV、エレトレで、2025年1月、兵庫・芦屋をドライブするチャンスがあった。ワインディングロードでも目をみはるような操縦性が強く印象に残るモデルだ。

2023年9月に日本発売が開始され、24年5月には少しの見直しがあり、ベースグレードが新設定された。今回試乗した「S」では、グラスルーフ、コンフォートシートパック（5人乗り）、さらに「アコヤホワイト」なる車体色があらたに標準装備となった。

Sは、下にベースグレード、上に「R」を頂く中間グレードだ。エレトレRは675kWの最高出力と985Nmの最大トルクを持つとはいえ、エレトレS（とエレトレ）だって450kWと710Nmとパワーは相当なもの。静止から100km/hまで、2.5tを超える車体をわずか4.5秒で加速させるのだ。

エレトレSを借りだしたのは「ロータス神戸」。神戸と西宮のあいだ、芦屋市前田町の国道2号線沿いに、25年1月19日にオープンした関西地区におけるロータスの新しい販売拠点だ。

たっぷり充電しておいてくれたエレトレSでもって芦屋と有馬温泉とを結ぶ「芦有ドライブウェイ」を走った。適度なカーブが連続する気持ちのよい道で、問題があるとしたら、中央車線にタイヤやホイールを激しく傷つけそうなキャッツアイが埋め込まれている点だ。

道は空いていたし、天気は快晴。大阪平野とそこに含まれる神戸の街と海が見下ろせる東六甲展望台まで、一気に駆け上がっていった。静かでスムーズな加速力は大トルクのモーターならでは、先行するBMW「320d」も速いクルマだったが、追い越す勢いだ。

ステアリングホイールの操舵量は少なめで、少しの操作で車体がサッと向きを変える。カーブからカーブへの加速はトルクたっぷりのバッテリー駆動車ならではで、カーブを抜けていくときの車体のロールは少ない。ここは、ロータスならではだなぁ、と、特に感じられる部分。

エレトレSには、6ピストンキャリパーを使う414mmのスチール製ブレーキが装備されている。ベースグレードは4ピストン。芦有ドライブウェイで、強力な効きを体験すると、Sの優位性が感じられる。

正確な操舵と、思い通りの加減速ができることによって、全長5103mm、全幅2060mm、全高1636mm（Pゼロタイヤと組み合わせた22インチホイール装着の試乗車の場合）という余裕あるサイズの車体の大きさを意識させない。

もうひとつ、感心させられるのはボディスタイルだ。3019mmと長いホイールベースに乗った車体は、リヤのウインドウが寝かされていて、実は荷室容量が688リッターと大きいのだが、そう見えないように工夫されている。

ユニークなのはルーフエンドのスポイラー。F1マシンを思わせるエアロダイナミックな形状なのだ。2015年までのロータス（別組織だけれど）のF1マシンを連想させ、ヘリテージをうまく使っている印象だ。

インテリアデザインも、オリジナリティが高く、エレトレの特徴になっている。15.1インチの有機ELタッチスクリーンがダッシュボード中央にすえつけられていて、そこで空調もナビゲーションシステムもオーディオもコントロールする。

ダッシュボード上には「フローティングウイング」と呼ばれる建物のひさしを思わせるディスプレイが左右に並べられ、建築的な雰囲気だ。個人的におもしろいと思ったのは、時計のデジタル表示の色。ロータスのコーポレートカラーである黄色が使われている。 細かいけれど、ロータスファンにはうれしいディテールだ。

ロータスは、日本では「エリーゼ」やそれ以前の「エラン」といったスモールスポーツカーのファンが多く、新しい電動化時代への移行が難しいのでは？ と、考えている人も多い。

もちろん、いつまでも全長3.6m、全幅1.4m程度の小さなスポーツカーを作りつづけるのは不可能。そもそも安全基準がパスできない。そこにあって、新世代のエレトレには乗ってみる価値があると思う。

ロータスの”今”を体験してほしい。