Published: 2024-10-21 21:10

超富裕層向けの新しいクルマの楽しみ方とは？

メルセデスAMGが販売するサーキット専用モデルが凄かった！ 大谷達也がリポートする。

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スーパースポーツカーのパワー競争は年々激化するばかりで、昨今は最高出力が1000psを超えるロードカーも登場するようになってきた。

そうしたモデルを操る楽しさや刺激は何ものにも代え難いけれど、いかんせん、その限界的な走りを公道上で引き出すのはあまりにもリスキー。

そこで、一部のエンスージアストはサーキット走行に目を向け始めているが、本格的なレーシングカーはそもそも操りにくいうえ、人と競い合うレースに参戦するのも気が引ける。かといって公道を走るために作られたロードカーでサーキット走行を繰り返せばタイヤやブレーキの消耗が心配になるほか、安全装備も心許ない。

「これまでロードカーを中心に走らせてきた自分にも楽しめて、安全性の高いサーキット専用モデルは、どこかにないものだろうか？」

そんなニーズが世界中で高まっていることも、無理からぬことだろう。

こうした動向にいち早く着目したのがメルセデスAMGである。

彼らは、2022年にメルセデスAMG GT トラックシリーズ（以下「トラックシリーズ」と表記）というサーキット専用モデルを限定販売。これは、ロードカーとして最高峰のパフォーマンスを誇るメルセデスAMG GTブラックシリーズをベースとしながら、GT3やGT4と呼ばれるレーシングカーで培ってきた安全性や耐久性を盛り込んだモデルで、サーキット走行の経験があまり多くないドライバーでも無理なく安全にレーシングカーのパフォーマンスを体験できるように工夫されている。

私は今回、F1イタリアGPの舞台でもあるモンザ・サーキットで、このトラックシリーズをドライブする幸運に恵まれた。

当初は、レーシングカーと変わらないその装備や操作性に面食らったものの、走り始めて10分もすればステアリングやブレーキの扱いにも慣れてきて、徐々にドライビングを追求できるようになったことには驚いた。正直、これほどワイドなスリックタイヤの限界を見極められたことはかつて一度もなかったが、クルマのセットアップやタイヤの特性が私のような初心者向きに設定されていることもあり、さしたる不安を抱くこともなく、徐々にペースを上げていけたのである。

おかげで、20分ほどの走行枠が終わる頃にはアンダーステアやオーバーステアの感触が掴めるまでコーナーを攻められるようになった。ここまで体験できると、トラックシリーズのコンセプトと、その操る喜びが次第に理解できるようになってくる。

とにかく、加速が豪快で、ストレートスピードが圧倒的に速いのである。

私が試乗した当日は、プロのレーシングドライバーが操るGT3マシン（日本のスーパーGT GT300クラスにも参戦できるほどパフォーマンスが高いレーシングカー）も同時にコース上を走行したが、コーナリングスピードでは到底追いつかないGT3マシンを、ストレートで置き去りにする快感は、一度味わうと病みつきになること間違いなし。