Published: 2025-04-30 17:12

NASAの探査車が火星で発見した“奇妙な岩石”の数々

米航空宇宙局（NASA）の火星探査車「パーサヴィアランス」が火星で奇妙な岩石を発見した。しかし、実は火星で奇妙な岩石が発見されたのは今回が初めてではない。そこで、これまでに見つかった奇妙な岩石を写真で紹介していこう。

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米航空宇宙局（NASA）の火星探査車「パーサヴィアランス」が、このほど火星で奇妙な岩石を発見した。この岩石は数百ミリメートルの小さな丸い石からできているという。NASAの研究チームが起源などを探っているが、まだはっきりとしたことはわかっていない。

火星でこのような奇妙な岩石が発見されたのは、実は今回が初めてではない。これまでもNASAの火星探査車は、火星でいくつもの奇妙な岩石を発見してきた。これらの岩石は、火星の地質学的な歴史をひもとくうえで重要な手がかりになるとされている。

今回はパーサヴィアランスをはじめとするNASAの火星探査車が発見してきた“奇妙な岩石”を、実際に現地で撮影された画像に基づいて紹介していこう。

パーサヴィアランスがジェゼロ・クレーターの縁にある丘「ウィッチ・ヘーゼル・ヒル」のブルーム・ポイントに到着したのは2025年3月上旬のことだった。

この地域には、明るい色の地層と暗い色の地層が交互にしま模様になって存在していることが、衛星軌道からの観測でわかっていた。そして3月下旬、パーサヴィアランスはそのうちの明るい色の地層のひとつを掘削し、サンプルを採取した。奇妙な岩石は、この地点から発見されたのである。

この大きさが数百ミリメートルの暗い灰色の小さな丸い石でできているように見える岩石は、パーサヴィアランスのサイエンスチームによって「セント・ポールズ・ベイ」と名付けられた。

セント・ポールズ・ベイを形づくっている小さな丸い石の形状は、さまざまだ。楕円形をしたもの、とがった縁をもつもの、なかには小さな穴が空いているものもある。

これ以外にもNASAの火星探査車は、いくつもの奇妙な岩石を発見してきた。そのうちのいくつかを以下に紹介していこう。

最初はNASAの火星探査車「オポチュニティ」が発見した「ブルーベリー」と呼ばれる岩石だ。着陸地点のイーグル・クレーターからエンデュランス・クレーターへと向かう途中で通過したフラム・クレーターのすぐそばで発見した。酸化鉄（Fe2O3）の一種であるヘマタイトを豊富に含んでいるという。

続いてはNASAの火星探査車「キュリオシティ」が発見した、多くの小さな丸い石が見える地層だ。この地層は、火星のイエローナイフ湾と呼ばれる地域に露出した「シープベッド」と呼ばれる地層の一部で、このような小さな丸い小石はシープベッドの他の部分でもよく見られるという。

最後はパーサヴィアランスが発見した“ポップコーン”のような質感をもつ堆積岩だ。ウォッシュバーン山での探査を終えたパーサヴィアランスは北へと向かい、ネレトヴァ渓谷に位置する「ブライトエンジェル」と呼ばれる層状に堆積した明るい色調の岩石が地表に露出した地域に到達した。ここでパーサヴィアランスは、この奇妙な質感をもつ岩石を発見したという。

これらの3つの事例で見られる小さな丸い石は、岩石と岩石に空いた小孔を循環する地下水との相互作用によって形成されたと考えられている。このような岩塊をコンクリーションと呼ぶ。このようなメカニズムで小さな丸い小石が形成されたことは、太古の火星に豊富な液体の水が存在していたことを示唆しているという。

ただ、このような小さな丸い石が形成された原因は、ほかにもいくつか考えられる。たとえば、地球では噴火で吹き上げられた溶けた岩石の滴が急速に冷却されたときや、隕石の衝突によって気化した岩石が冷えて凝集するときにも、このような小さな丸い小石が形成されるとことがわかっている。

なお、セント・ポールズ・ベイを形づくっている小さな丸い小石の形成原因については、まだ確定していない。

パーサヴィアランスのサイエンスチームは、セント・ポールズ・ベイを形づくる小さな丸い石の形成原因を探るべく、セント・ポールズ・ベイが衛星軌道からの観測によって確認された暗い色の地層に由来する可能性を視野に入れながらも、セント・ポールズ・ベイの起源を調べているところだ。