Published: 2025-01-09 18:12

日銀 “賃上げ必要認識 幅広い企業に浸透”総括 地域経済報告

日銀は9日、3か月ごとにまとめている「地域経済報告」を公表しました。
追加の利上げを判断するうえで重視している賃金の動向については、人手不足を背景に継続的な賃上げが必要だという認識が幅広い企業に浸透してきていると総括していて、今後の金融政策にどう反映させるかが焦点となります。

日銀は、9日開いた全国の支店長らが出席する支店長会議で地域経済報告をまとめ、公表しました。

それによりますと、全国9つの地域のうち「東北」と「北陸」の2つの地域で、景気判断を前回3か月前から引き上げました。

▽東北は一部の自動車メーカーの生産停止の影響が解消されたこと
▽北陸は復旧・復興関連の需要や個人消費が持ち直していることが主な理由です。

それ以外の7つの地域については「持ち直している」や「緩やかに回復している」などと表現した景気判断を据え置きました。

一方、日銀は追加の利上げを判断するうえで賃金の動向を重視していて、これに関連した「雇用・所得」の項目では、すべての地域で「緩やかに改善している」などとした判断を据え置きました。

さらに会議の総括では「中小企業を中心に慎重な姿勢があった一方、全体としては人手不足を背景に、継続的な賃上げが必要だという認識が、幅広い企業に浸透してきているという報告が多かった」としています。

日銀は今月下旬に金融政策決定会合を開きますが、今回の報告や春闘の動向を政策判断にどう反映させるかが焦点となります。 日銀大阪支店長「相応数の企業が前向き姿勢の状況は確か」 日銀大阪支店の神山一成支店長は会見で、企業の賃上げに向けた動きについて「企業からは採用力強化のため賃金を上げるという声が聞かれる。人手不足感が構造的に強まっているほか、最低賃金の大幅な上昇も賃金の押し上げに働いている」と述べました。

そのうえで、ことしの春闘の見通しについて「去年並み、それから去年以上の数字が出るかもしれないと考えられる一方、賃上げをしっかりとできる企業から早く表明している部分もあり、すべての企業ができる状況とは限らない。ただ、相応の数の企業が前向きな姿勢を打ち出している状況は確かで、他の支店長の報告を聞いてもそう感じた」と述べました。