Published: 2025-01-12 14:47

極上のトヨタ・ランドクルーザー

2025年1月10日から開催された「東京オートサロン2025」（千葉県・幕張メッセ）のトヨタブースには、ひっそりと「ランドクルーザー（BJ）」も展示された。

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“ド派手”な出展車が並ぶ東京オートサロン2025のなかで、ひっそりと置かれていたものの、しかしファンにはたまらない存在感を放っていたのがトヨタのランドクルーザー（BJ）だ。ランドクルーザーの原点である。

3386cc直列6気筒という大排気量のエンジンを収めた大きなボンネットが車体の半分を占めるぐらいのプロポーションがユニーク。独立したフェンダーと、そのうえにちょこんと置かれたようなヘッドランプには破損防止のためのガードがつけられている。

全長は3793mmで全幅は1575mmと、ボディはコンパクト。参考にした米国のジープにならったことも、サイズを決めた要因だろう。

ジープは1970年代の前半にかけて、小型化が追求されていた。キナくさい話であるが、東南アジアのジャングルでの戦争が、大きく視野に入っていたからだ。かつ、航空機でなるべく多く搬送するため、より小型で、かつより軽量なモデルも開発されていた。

ランドクルーザー（BJ）開発の背景には、警察予備隊（現・陸上自衛隊）への納入がめざされていた。あいにく、ジープのライセンス生産をした三菱ジープが採用されることになり、BJはランドクルーザーという民生用の道をいくことになった。

ちなみに1980年代に入って、さすがにマーケットが小さくなった三菱ジープがフルモデルチェンジというか、路線変更をした結果、うまれたのが、1982年の初代「パジェロ」だ。

東京オートサロン2025年の会場では、ランドクルーザー（BJ）は「モリゾウガレージ」として出展された4台の1960年代の日本車と、これまでのトヨタ車体の事業から、トヨタ自動車本体との協業の側面を強く打ち出すことになった「ランクルBASE」のブースの間に、はさまるように置かれていた。

「ランドクルーザーとお客様の絆をより深めるためにチャレンジしてまいります」と、ホームページで謳うランクルBASE。東京オートサロン2025において、TOYOTA GAZOO Racingとの関係、つまりグループ内の横のつながりを強調するとともに、今回のランドクルーザー（BJ）の展示では、ランクルの縦の歴史を意識させ、新たな商機を見出そうとしているかのようだった。

ランドクルーザーは歴代の40系（1960年）、60系（80年）を今も見掛けるし、70系にいたっては、84年のデビューながら、24年に日本で再販され、販売も好調のようだ。実際に大変良い出来で、ディーゼルエンジンのパワーと、車体の動きがよくコントロールされたサスペンションシステムは市街地でも使いやすい。悪路での走破性は言うにおよばずだ。

将来はランドクルーザーもバッテリー駆動になるかもしれないが、現在のところ「エンジンをあきらめない」と、トヨタの豊田章男会長は、東京オートサロン2025の会場でメッセージを送っている。当面は大きめの排気量エンジンによる、太いトルクというクロスカントリーSUVの“必須条件”は守られそうだ。