Published: 2025-07-01 19:05

大阪ファッションLOVER──Vol7. クッキークルーストア

強いこだわりと関西ならではのユーモアを巧みに掛け合わせた大阪ファッションの震源地を紹介する短期連載。第7回は、ヴィンテージショップ「クッキークルーストア（Cocky Crew Store）」。個性派ショップが居並ぶ大阪にあって、珍しい正統派。目の肥えたマニアも襟を正して入店したくなる、そんな良質なトゥルーヴィンテージが揃う。

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アメ村に佇む瀟洒なレンガ造りの建物に「クッキークルーストア」はある。コンパクトなスペースながら、整然と並んでいるのはアメリカから買い付けた一点もの。2006年のオープン以来、大阪きっての名店として濃厚なファン層を築いてきた。

「大手のショップとは違い、うちは規模で勝負できません。だから質の高い一点ものを揃えるしかないんです」と語るオーナーの村上尚之さん。年に5～6回ほどアメリカに赴き、現地の様々な場所で買い付けをしながら、懇意にしているディーラーから仕入れている。服の買い付けにあたっては、必ず実際に着用してみるという。サイズ感ももちろんですが、大事なのはかっこいいかどうか。ただ見るのと実際に着るのでは印象が変わりますから」

同店の魅力の一つに幅広い年代のセレクトがあげられる。1890～1910年代のアーリーセンチュリーものから、2000年代初頭までのリアルヴィンテージまで、一つ一つのアイテムから村上さんの古着愛を感じる丁寧なセレクトが光る。いまをときめくバンドTシャツを筆頭に、50～60年代のスウェットやパーカ、70年代のヒッピーカルチャーのレザージャケットなど、トレンドを踏まえつつ、オーナーの好みを反映した玄人好みの逸品が揃っているのだ。

「個人的に年代の古い服が好きですが、アメリカでもなかなか出てこない。だから年代問わず、見つけたものの中から自分が面白いと感じる服を探して仕入れています」

また、同店を語るうえで、バンドTシャツの充実ぶりにも触れたい。80年代後半～2000年代初頭のものを中心に、デザイン性に富んだグラフィックTがずらりと並ぶ。とはいえ、村上自身はそこまで音楽カルチャーに詳しいわけではないという。

「グラフィックの良し悪しで選んでいます。どんなバンドのTシャツであれ、結局はファッションとしてかっこいいかとか、面白いかどうか。自分がビビッときたものだけを仕入れています」

さらにこちらではキッズアイテムやセールスマンサンプルなど、マニアックなアイテムも充実している。そんな「変わり種」の中でのイチオシは古いキャンバス製のバッグ。 「40～50年代製の軍物やワーク、スポーツバッグなどが多く揃っています。古着との相性も抜群なのでおすすめです」

昨今の古着シーンではヨーロッパ古着が人気を集めているが、それでもここではアメリカ古着にこだわる。単にアメリカが好きなだけでなく、文化や歴史を熟知したもっと深い理由から。

「国土の広さや文化的背景なども相まって、アメリカには古くて面白い服がまだたくさん残っていますし、移民などの影響から服の種類も雑多かつ多様です。その反面ヨーロッパは国土が狭い分、引越しや移住を繰り返してきた歴史もあり、古い服があまり残っていない。あと文化的にも単一的な伝統がある分、デザインのバリエーションが少ないんです。何よりアメリカ古着が好きなんですよね」

セレクトの軸は「希少性」や「ブランド」ではなく、「見たことない」「なんだこれ」と感じる感性。村上自身が「ただ売るだけの古着屋にはしたくない」と話すように、ヴィンテージを通じてアメリカ古着の奥深さや面白さを伝えることが自分の仕事であると言い切る。

「大阪古着の魅力は個人店さんの個性。オーナーの好みが反映されていますが、近年はそういうお店は減っています。自分はコンディションの良いものもボロも好きですし、ヴィンテージもレギュラーも好き。これからも今まで見たことがなかったものや、自分が思うかっこいいとか面白いという感覚に刺さるようなものを、一つでも多く紹介できるように頑張りたいです」

Cocky Crew Store 住:大阪府大阪市中央区西心斎橋1-9-28 1F 111　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　TEL: 06-6251-0248　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　営: 14:00～20:00（月火水金）、12:00～（土日）休:木曜https://www.instagram.com/cockycrewstore/ ＊大阪の店舗は7月末までの営業予定。9月20日（土）オープン予定で都内に移転する。詳しくはインスタグラムをチェック！