Published: 2025-06-30 17:10

「同性愛」がテーマの巨大壁画。2年越しの完成に込められた願い「”存在していていいんだ”と思ってほしい」

「誰もが自由に堂々と人を愛せる世界になってほしい」という想いを込め、あるアーティストがオランダの首都アムステルダムに、男性同士でキスをする壁画を制作しました。

【写真】制作された壁画がこちら

高さ約13.5メートルにおよぶ巨大壁画が制作されたのは、2024年11月。世界各地で活躍するストリートアーティスト、ユーディット・デ・レーウさんによって描かれ、『Behind the Rainbow（虹の向こう側）』と名付けられました。

オランダは、世界で初めて同性婚が実現した国。しかし、ユーディットさんは、まだまだ課題も残っているといいます。現地メディアTrouw紙 によると、壁画制作を許可してくれる建物がなかなか見つからず、実現まで2年を要したそう。

ユーディットさんは自身のインスタグラムで、制作時にぶつかった障壁を明かしました。「（キャンバスとなる建物を探していたとき）、数多くの建物の所有者に断られました。彼らは、男性と女性がキスしている壁画であれば歓迎したようです」「男性同士の絵となると、誰も歓迎の意をしめさなくなりました」

「毎日、何千人もの人がこの壁画の前を通ります。『隠さなければいけない』と多くの人が感じている愛を、人々は目にしているのです」「あまりに多くの同性愛者たちが、今もなお、人前で愛を表現することへの“恐れ”と“抵抗”を感じています」「LGBTQ＋の当事者たちは、まだ安心して本当の自分の姿を出せないでいる。私の壁画は、その原因である沈黙と偏見への挑戦です」

ユーディットさんは、「NL Times」の取材で、壁画に込めた想いを語りました。「『アムステルダムはクィアフレンドリーの都市だから、誰でも自分らしくいられる』と思われているようです。しかし、そうは思えない場面にも遭遇してきました」「だからこそ、若い同性愛者の人たちがこの壁の前を通るときに、『これが私。私は存在している。存在していていいんだ』と感じてほしいです」